未修・理系社会人がゼロから始める司法試験予備試験受験・中大通教奮闘記

貧乏勤務医が人生とキャリアにプラスを求め、ゼロから予備試験→司法試験を受験する過程を赤裸々に。2020/4月、中央大学法学部通信教育課程3年次編入。

占有訴権とは?

 占有権を有する者は,その占有が侵害を受け,またはそのおそれがある場合に,侵害者または侵害のおそれのある状態をもたらしている者に対して,円満な占有状態の回復を求めることができる。これを占有の訴え(占有訴権)という。

(占有の訴え) 第百九十七条 占有者は、次条から第二百二条までの規定に従い、占有の訴えを提起することができる。他人のために占有をする者も、同様とする。

 占有訴権は「訴権」と名前がついているが実体法上の権利であり,物権的請求権の一種である。

占有訴権の制度趣旨

 占有訴権の趣旨は「円満な占有状態の回復と侵害行為によって生じた損害の賠償」であり、占有の背後に存在している本権の保護を目的としたものではない(=本権とは無関係)。

(本権の訴えとの関係) 第二百二条 占有の訴えは本権の訴えを妨げず、また、本権の訴えは占有の訴えを妨げない。 2 占有の訴えについては、本権に関する理由に基づいて裁判をすることができない。

 占有の訴えは,円満な占有状態の回復も占有の訴えを通じて実現すべきだとすることで,自力救済を禁止することもねらっている。

占有訴権の種類

占有訴権は、それぞれ相対する物件的請求権との対比で以下の3つに分けられる。

① 占有保全の訴え(妨害予防請求権)

(占有保全の訴え) 第百九十九条 占有者がその占有を妨害されるおそれがあるときは、占有保全の訴えにより、その妨害の予防又は損害賠償の担保を請求することができる。

② 占有保持の訴え(妨害排除請求権)

(占有保持の訴え) 第百九十八条 占有者がその占有を妨害されたときは、占有保持の訴えにより、その妨害の停止及び損害の賠償を請求することができる。

③ 占有回収の訴え(返還請求権)

(占有回収の訴え) 第二百条 占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還及び損害の賠償を請求することができる。

占有訴権を行使できるのは占有者。

 占有の訴えを提起するには占有者であればよく、本権の有無は問わない。 他人のために占有する者(占有代理人)も自己の名前で占有訴権を行使できる。

 占有者には直接占有者の他、間接占有者も含まれる。  例えば賃貸借契約に供されている建物の賃借人はもちろん、賃貸人もOK。

占有訴権の相手方となるのは?

(占有回収の訴え) 第二百条 占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還及び損害の賠償を請求することができる。 2 占有回収の訴えは、占有を侵奪した者の特定承継人に対して提起することができない。ただし、その承継人が侵奪の事実を知っていたときは、この限りでない。

占有訴権の相手方となるのは、もちろん現在占有を侵害している者となる。

ただし、民法200条第二項の定めにより、事情を知らずに占有を取得した善意の特定承継人(例えば盗品の買受人など)に対しては占有訴権を行使できない。

占有の訴えの提起期間

(占有の訴えの提起期間) 第二百一条 占有保持の訴えは、妨害の存する間又はその消滅した後一年以内に提起しなければならない。ただし、工事により占有物に損害を生じた場合において、その工事に着手した時から一年を経過し、又はその工事が完成したときは、これを提起することができない。 2 占有保全の訴えは、妨害の危険の存する間は、提起することができる。この場合において、工事により占有物に損害を生ずるおそれがあるときは、前項ただし書の規定を準用する。 3 占有回収の訴えは、占有を奪われた時から一年以内に提起しなければならない。

占有訴権は、占有侵害終了後1年以内に提起する必要がある。この期間は損害賠償請求にも適用される。

社会人を経験すると、司法試験(予備試験)が少し簡単に思える。かもしれない。

こんにちは。未修理系社会人のゆらりんです。

今日は同じ社会人受験生向けに戯言を一つ。

法律の勉強は、社会人経験がある方が身につきやすい、ような気がする

2021年の予備試験を受けるべく勉強を始めて思うのは、 「実は司法試験って、社会人の方が解きやすいのかもしれない(特に論文試験)」 ということです。

割と細かくて苦手な人が多いとされる商法も、社会人なら具体的イメージがつきやすいと思います。

自分が働いている会社のことを思い浮かべたり、例えば株式投資をしてたりすると最高です。

歳をとった分だけ単純な暗記能力は落ちているのかもしれませんが、社会の中での法律の位置付けや、法律同士の繋がりは逆に理解しやすい気がします。

一つの案件内で複数の法律(例えば民法と商法とかね)が動く場面では、それぞれの法律が有機的に頭の中で繋がりませんか?

社会人こそ司法試験を受けよう!

ということで、どこかの予備校の宣伝みたいになってますが、実際に勉強してみて、「社会経験のある社会人こそ司法試験」という気がしています。

みなさん一緒に頑張りましょう!

定義、趣旨、要件など、法律を勉強する上で必要な基本用語おさらい

ということで、今回は超基本的で誰も教えてくれない法律基本用語についてまとめました。

私のような初学者の方のお役に立てれば幸いです。

定義

法律的に固有の意味

趣旨

どうしてそのような法律や制度、条文ができたのかという存在理由。 大抵の法律には、目的規定又は趣旨規定が第1条として置かれている。

要件と効果

法律の条文は、条件と効果から成り立っている。

どうすれば法律が適用されるか(条件=法律要件) →法律が適用されたらどのような結果が発生するか(=法律効果)

要件

どうすれば法律の適用を受けられるか、つまり法律効果を発生させるために必要な条件。

効果

法律要件を満たした場合に,どのような結果が発生するか。 結果とは、法律で定められた権利や義務が発生したり消滅したりすることをいう。

規範

のっとるべき規則、あるいはある物事に対して判断、評価又は行為する場合の拠(よ)るべき基準。通常「…すべきである」、「…してはならない」というような形で表現される。その起源や違反に対する強制力の構造などによって、法、道徳、宗教等の諸規範に分類される。法は、一定の行為を命ずる行為(社会)規範であるとともに、一般に、その違反に対し何らかの公的権力を背景とした制裁を定める強制規範である。 [有斐閣 法律用語辞典 第4版]

判例

過去に下された裁判(主に最高裁判所が出した判決・決定)に含まれる法理論(条文の解釈や事案への適用)のうち,現在拘束力を持つもの。 厳密には「判決の結論を導く上で意味のある法的理由付け、すなわち『判決理由』(ratio decidendi)のこと」。

学説

学者の示した解釈のこと。

通説

複数ある学説のうち最もポピュラーであり、多数に支持されているもの。 または影響力の大きい論者が述べている学説。

従来の通説

かつては多数の見解が支持していたが、今は支持されなくなってきていて、流動的となっている学説

旧通説

以前は通説として認知されていたが、今では完全に支持を失って少数見解になっている学説。

有力説

通説には至らない場合、または通説に次いで一定の支持を受けている学説。 多くの学者が採用している説。

理由づけ

判例・通説の論理

問題提起、要件提立、当てはめ、結論=IRAC

法律家の思考パターンをIRACと称する。 法的三段論法に基づく文章のフォーマットとしても使われている。

I=Issue 問題提起。

事案を詳細に分析し、争点になっている事実関係は何かを明らかにする。

R=Rule 法規範・要件提立

上記事実関係に適用されるべきルール(法規範)を発見する。

A=Application/Augument 当てはめ

Appliocation;適用すべきルールの法律要件に、問題となっている事実関係が当てはめられるか検討する。=ルールの当てはめ

Augument;賛成説と反対説をともに検討・評価することにより、自説の弱点を知り、補強する。

C=Conclusion 結論

以上のプロセスを通じて得られた適切な結論を提示する。

公信の原則

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公信の原則とは?

(即時取得) 第百九十二条 取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。

公信の原則とは「実際には存在しない権利が外形的には存在するようにみえる(公示されている)場合、その外形(公示)を信頼して取引した者を保護する」という原則のことである。

たとえ実質的権利が存在しない場合でも、その外形(公示)を信頼した者を保護して、当該権利が存在したのと同様の法律効果(=公信力)を与える。

逆に、真の権利者は過失がないのに権利を失うこととなる。

善意の第三者を保護しようとする制度で、公示の原則とともに物権法の基本的原則である。

公信の原則の例

Aは、自分で所有している本「甲』をBに預けた。Bはその本「甲』をAの許可なく勝手にCに売却し、Cはその場で本「甲」の引き渡しを受けた。

この場合、Cは、無権利者Bからの取得であるにもかかわらず、この本「甲』の所有権を取得することができる。

公信の原則は動産のみに適用される。

公信の原則は動産についてのみ適用される。

動産の取引において、相手方が権利を有しているかどうかを判断するには、占有という事実を確認するしかない。(動産譲渡登記が行われていない場合)

動産の取引は世の中で頻繁に行われており、取引の度に権利関係を確認していると手間がかかりすぎて取引が円滑に進まなくなること、また取引の安全性を担保するという観点から、民法ではこのような制度をとっている。

盗品や遺失物については即時取得に制限がある

第百九十三条 前条の場合において、占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時から二年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる。

第百九十四条 占有者が、盗品又は遺失物を、競売若しくは公の市場において、又はその物と同種の物を販売する商人から、善意で買い受けたときは、被害者又は遺失者は、占有者が支払った代価を弁償しなければ、その物を回復することができない。

不動産については適用されない。

不動産の公示方法は登記であるが、登記には公信の原則が適用されないので、登記を信じて取引をしても、登記名義人が真実の権利者でなかった場合には、その権利を取得することができない。

不動産は、動産ほど頻繁に取引されるものではなく、また一般的に取引の際には登記を確認するのが当たり前となっている。

特許権についても適用されない。

特許権は、動産のように日常的に移転されるものではないため、公信の原則については不動産と同様に扱われている。

未修理系社会人、女子大生となる。

ということで、タイトル通り女子大生となりました現役内科医のゆらりんです。

どうして女子大生の道を選んだか、について簡単に解説します。

理由1 法律業界の文章の書き方を覚えたかった。

独学で予備試験の勉強をする。結構大変。

知識を入れるインプットはまあいいです。 世の中には司法試験予備校がたくさんあり、結構な数の無料動画があります。

各々の動画の視聴目的さえ明確にしていれば、かなりのレベルのインプットが可能です。

ですが、アウトプットの評価は難しい。

書くのはいいのですが、書いたものが客観的に見てどのくらいのレベルにあり、どこが間違っているかの評価は、自己学習では無理です。

なので、基本的な法律系文書の書き方を学び、自分の書いた物を他人に評価してもらう機会は絶対に必要だと思いました。

理由2 法律業界に知り合いが欲しい!先生方の顔を覚えたい!

今は家庭の事情で無理ですが、将来気が変わって法科大学院に行きたくなったり、実際に法曹として働き始めたときに、法律業界の知り合いって絶対必要だと思います。

世の中、なんだかんだ言って、知り合いって重要です。

私、内科医ですが、当時一般的だった医局入局というルートを通っていないので、業界に知り合いが極端に少ないです。

せいぜい一緒に働いたことがある方や、同じ業界で仕事をしている方くらいのもので、そのような間柄だとなかなか深い話をするのは難しいです。

女性ということもあるのですが。

ということで、少なくとも、法律業界にも知り合いが欲しい!と思いました。

通信教育課程は、特にこのwithコロナの時代に講義を対面で聞く、とかいうのは難しいのですが、少なくとも各科目の先生方については レポートのやり取りや試験などもあるので、顔がわかるくらいにはなりそうです。

そのくらいでも、知っていると知らないのでは随分違うような気がします。

まとめ:女子大生、がんぱります!

ということで、しばらくは女子大生としてガンパリます。

まだレポート1つも書けていないので、卒業できる気がしないところがなんとも言えませんが・・・

物権とは?民法上の物権の種類

物権とは

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物を支配する権利のことを「物権」という。

ちなみに法律上の「物」とは有体物のことを指す。

第四章 物 (定義) 第八十五条 この法律において「物」とは、有体物をいう。

物権は絶対権であり,排他性を有する権利である。

第175条(物権の創設)物権典型の強制 物権は、この法律その他の法律に定めるもののほか、創設することができない。

民法は,財産権の絶対を基本原理の1つに据えている。

その結果,所有権ほか物権を有する者は,物権に基づいてその物を支配していることを万人に対して主張することができるし,他人からの干渉を排してその支配を貫徹できる。

物権の意義と性質

1、直接支配性

物権は、物を直接に支配して利益を得ることをその内容とします。

他人になんらかの行為を請求する権利である債権とは本質的に異なります。債権は、他人(債務者)の行為を介してはじめて権利の内容が実現します。

2、絶対性

物権を有する者は、すべての人に対してその権利を主張することができます。 これを物権の絶対性と呼びます。

3、排他性

一つの物の上には、同じ内容の物権を重ねて成立させることはできません。 これを物権の排他性といいます。

債権との比較(任意規定と強行規定)

物権と債権を比較するためには、任意規定強行規定という用語を覚えておく必要がある。

  • 任意規定:当事者の合意による特約によって排除することができる規定
  • 強行規定:当事者の合意によって変えることのできない公の秩序に関する規定

契約等などに基づいて発生する債権は、契約自由の原則により、公序良俗に反しない限り当事者の合意によって自由に決定できる。

よって債権の規定は任意規定が多いということになる。

対して、その内容を自由に創設・変更することのできないとする物権の規定の性格は強行規定である。

物権の種類

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物権の種類

物件には下記のような種類がある。

1 物の価値の帰属・支配を目的とするもの=本権

「本権」とは、物を支配する権利のことを指す。したに述べる「占有権」とは異なり、支配していることに法的根拠があるものを指す。

「本権」で扱われる物の価値には以下の2つがある。

①交換価値 財貨を市場において処分(換価)することにより得られる価値

②利用価値 財貨を使用・収益することにより得られる価値

本権の分類:所有権と制限物権

「所有権」とは、 自分の物に対する物権のことをいう。1①交換価値②利用価値の全ての支配を目的とする。

「制限物権」とは、他人の物に対する物権のことをいう。「制限物権」は交換価値と利用価値のどちらかしか支配できない。 「制限物権」はさらに「用益物権」と「担保物権」に分けられる。

制限物権の分類:用益物件と担保物件

用益物権:他人の物を利用する物権である。1②利用価値のみの支配を目的とする。

ちなみに用益物権は全て土地に対する権利であり、土地以外の物に対する用益物権は存在しない。   例)地上権、永小作権、地役権、入会権

担保物権:債権の担保のための物権である。1①交換価値のみの支配を目的とする。

例)抵当権(根抵当権)、質権、留置権、先取特権、

2 事実状態の帰属・支配を目的とするもの=占有権

「物を現実的に支配している(=占有)」という事実だけに基づいた物権のことを「占有権」という。

占有自体を保護するために,民法180条以下では占有者(事実上の支配をしている人)の地位に権利性を認め,法的に保護している。

この場合、占有が正当なものかどうかは問わない。

物権法定主義

今回は物権法定主義について勉強します。 物権については別記事にまとめました。

www.zero-shihou.net

物権法定主義とは

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物権は,民法その他の法律に定めるもののほか,創設することができない(175条。物権典型の強制)

絶対的・排他的な権利である物権は、民法その他の法律で定めたものとは異なる種類の物件を作り出したり、法律の定めたところと異なる内容とすることはできない。これを物権法定主義という。

物権法定主義の存在理由・意義

物権法定主義の存在理由および意義は以下の2つである。

1 所有権の自由を確立するための妨げとなる封建的な権利関係を排斥する

土地を媒介とする前近代的な支配・被支配の身分関係に立脚した封建的秩序を打破し、、近代経済社会成立の前提となる個人の所有権の自由を確立する_

2 取引の安全の保護のため、複雑な権利関係を定型化する

物件は絶対的・排他的権利であるので、商品交換経済下での取引の安定性(権利の一義性)を保つためには、あらかじめ物権の種類や内容について法定し、それを決められた手段(登記)によって公示することで、外からでもその権利関係がわからなくてはならない。

勝手に物権を創設することが許されれば、不当に所有権が制限される可能性がある。

物権法定主義の例外

物権法定主義にはいくつかの例外が存在し、実社会において慣習的に用いられている物権的権利がある。 これは、民法175条の趣旨に現実的に即していれば良いという考え方などに基づくものである。

具体的には、以下の条件を満たしているものが当てはまる。

  1. 内容が明確かつ合理的である

  2. 適当な公示方法がある

  3. 封建的身分制度とは関係のない慣習法として社会的に認められている

慣習的に使われている権利のうち、判例で認められた権利

  • 水利権(流水使用権)(大判明治42.1.21)
  • 温泉権(温泉専用権または湯口ゆくち権ともいう。大判昭和15.9.18)
  • 根抵当権・仮登記担保権→後に立法化されている。
  • 譲渡担保→法の規定はないが、取引実務にて展開し、承認を得ている。

慣習的に使われている権利のうち、判例で認められなかった権利

  • 上土(うわつち)権(大判大正6.2.10)

参考文献> 潮見佳男. 民法(全)(第2版) (Japanese Edition) 淡路剛久他. 民法II -- 物権 第4版補訂(有斐閣Sシリーズ)